海外大学の卒業生と日本の大学の卒業生との違いは何かありますか?
まず、弊社ではOB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」を通じて、大学生・大学院生の皆様に、社会で活躍する社会人との対話の機会を提供することで、期待と覚悟を持ったキャリア選択の支援を行っています。私は、海外正規留学生(以下、海外大生)のキャリア支援に特化した「ビズリーチ・キャンパス for 海外大生」を担当しています。
「ビズリーチ・キャンパス for 海外大生」に登録してくださっている学生の皆様は、第二言語の環境で専門分野を学ばれた経験をお持ちです。そのため、学生生活の中で従来の学業に加えて言語習得という大きな挑戦を乗り越えた経験があることで、目標に対するコミットメント力が高い方が多いと感じます。一般的に、日本の多くの企業では、事業戦略に基づいて個人の役割が定義され、役割を遂行することが望まれますが、海外大生の皆様は与えられた仕事を最後までやり抜く「グリッド力」が高い方が多いという印象です。慣れない言語や文化、時にはマイノリティという環境下で、着実に学び、単位を取得し、卒業するという経験そのものが、海外大生の持つ揺るぎない強みであり、企業からも高く評価されるポイントです。
「ビズリーチ・キャンパス for 海外大生」として、どのような学生体験(経験)が重要だと思いますか?
海外の大学では、国籍もバッググラウンドも異なる仲間と共に学ぶのが日常です。授業では活発な意見交換が求められ、「あなたはどう思いますか?」と問われる環境で、自分の意見を明確に持ち、論理的に伝える力が養われます。また、年齢も多様なため、異なる世代の価値観に触れながら議論をする機会も豊富です。こうした経験を通じて培われる多様性への理解や、物事を多角的に捉える視点は貴重です。変化の激しい現代において、多様なチームの中で新しい価値を創造できる人材として、多くの企業が海外大生に期待を寄せていると感じます。
コンピュータサイエンス教育に対して、「ビズリーチ・キャンパス for 海外大生」の利用企業が求めていることは何ですか?
コンピュータサイエンス専攻の学生は数が少ないので、私どもがご支援しているビズリーチ・キャンパスをご利用の企業様にとっても、そのニーズは高いと感じています。特にAIの領域は、今やあらゆる産業で不可欠な知識となっています。多くの企業が事業へのAI導入を加速されており、その専門性を持つ学生の方々は貴重な存在です。エンジニアはもちろんですが、それだけではありません。例えば、ビジネス職を志す方であっても、AIを駆使して業務を効率化したり、AIに任せる仕事と自分がやるべき仕事を見極め、融合する能力は、今後さらに市場価値が高まっていくと思います。
エセックス大学のような英国型教育を受けた学生に、どのような印象をお持ちですか?
留学先としてヨーロッパ、特にイギリスの大学を選ぶ方は、キャリアへの意識が非常に高い印象です。イギリスの大学は3年間で学位取得するカリキュラムが主流であり、4年制の大学よりも期間が短い分、入学時から卒業後のキャリアを見据え、どの学問を学ぶべきかを逆算して考えている方が多いという印象です。
また1年次の夏からインターンに参加できる大学が多く、他国の学生より1年半ほど早くから実務経験を積むことができる点も特徴的です。
今後、企業の採用・人材開発において、海外教育機関との連携や視点は重視されていくと思いますか?
現在ご支援させていただいている企業様の多くが、イノベーションの創出や組織の活性化のために「多様性」を重視した採用を推進しています。画一的な経験を持つ人材だけでなく、異なる視点やスキルを持つ人材を積極的に求める企業は、今後ますます増えていくと考えています。日本では新卒一括採用が主流ですが、直近では、専門スキルを持つ人物を評価する「ジョブ型採用」を取り入れる企業も出てきています。そのような状況において、御校のように日本のキャンパスで、コンピュータサイエンスやAIといった特定の分野で深い専門知識を学び、海外学位を持つ人材を採用したいと考える企業も今後増えてくるのではないかと思います。
当校の学生に向けて一言メッセージをお願いします。
学生時代のうちに、ぜひ一人でも多くの社会人の先輩と対話する機会を持ってください。先輩の話を聞くことで、具体的に働くことや仕事内容をイメージでき、漠然としていたキャリア感が醸成されます。また、日々、「社会で求められる能力」と「自分が今学んでいること」とのつながりを意識してみてください。それにより、目指したいキャリアに対して、自分自身の現在地を把握することにもつながります。
皆様の持つコンピュータサイエンスやAIの領域の専門性、そして世界で学んだというユニークな経験は、日本の企業において求められる人材だと強く感じています。皆様の活躍を心から期待しています。