
海外大学卒業生の採用状況を教えてください。
【富樫様】
現状、積極的に海外大学卒業生を採用できていない状態です。
英語については非常に堪能でも、ITの知識が十分でない学生の方については、書類選考や適性検査の段階で、結果的に見送りとなってしまうケースがあります。
一方で、当社でも海外向けの仕事は徐々に増えてきており、今後はその分野にも力を入れていきたいと考えています。海外向けの業務を少しずつ拡大しながら体制を整え、将来的には海外の学生の皆さんにもぜひ来ていただき活躍いただきたいと考えております。
英語力とITの知識を兼ね備えた学生は非常に少なく、その分、企業間での獲得競争も激しくなっています。その結果として、当社を選んでいただけないケースも多く、採用に至らない状況が続いているのが正直なところです。
TOEICなどの試験結果を通じて英語力をアピールしてくださる方については、事業部とも連携しながら、できるだけ海外向けの業務を担当していただけるよう検討していきたいと考えています。
【谷本様】
グローバル人材や外国籍の方を受け入れていくことになれば、私たち受け入れ側としても、社員全員が働きやすい環境づくりを意識する必要があると感じています。
海外大学卒業生と日本の大学の卒業生徒の違いはありますか?
【富樫様】
あくまで印象にすぎませんが、海外で学んできた学生は主体性が高いと感じることがあります。海外での生活経験を通じて培われた、新しい視点や価値観を持っており、本人自身も気づいていないような強みを発揮してくれるのではないかと期待しています。
そうした点は、会社や組織としても「新しい風」を取り入れたいという考えと合致しており、非常に魅力的だと考えています。
【谷本様】
海外の大学では、日本の大学のように同じ年代の学生だけが集まっているとは限らないようです。そのため、年齢や立場の異なる人たちと学ぶ環境の中で、年上の人に対しても自分の意見をしっかり伝えられる学生が比較的多い、というのは感じています。
【富樫様】
年齢や立場を気にして、「意見は控えた方がいいのでは」と考えることが、必ずしも良い結果を生まないように感じます。思い切って自分の考えをはっきり伝えてくれる方は日本の大学出身者にもいらっしゃいますが、そうした姿勢を持つ方の割合は、海外大学出身の方の方が高い印象があります。

コンピュータサイエンス教育について企業として求めていることは何ですか?
【富樫様】
近年、新卒採用はますます難しくなっており、優秀な人材の獲得競争が激しくなっていると感じています。そうした中で、新たな取り組みを通じて、高い技術力を持つ学生が増えていくことは、当社にとって大きな意義があります。
また、当社は今後、海外向けの事業にも力を入れていきたいと考えています。当社はIT企業として、お客さまの要件を丁寧にヒアリングした上でITサービスを提供しているため、実務では高いレベルのビジネス英語が求められます。
その点、海外での生活経験があり、さらにIT分野を学んできた学生の方々は、海外案件において即戦力として活躍いただけるのではないかと、大きな期待を寄せています。
当校の教育機関としての印象を伺えますか?
【富樫様】
当社では現在、大学だけでなく専門学校や高専とも積極的に接点を持っていますので、学歴そのものよりも、学生の中身、特に技術的な要素を重視して人材を見ています。
そのため、学歴に対して特別にネガティブな印象を持つことはなく、むしろ技術力が高そうだという期待感の方が大きいです。また、英語力の有無に限らず、英語に興味を持って学びの場を選んでいる学生は、入社後も自ら意欲的に学び、チャンスを見つけて成長していくタイプが多いのではないかと感じています。
入社直後から即戦力として最前線に立つのは難しくても、1〜2年後にしっかりと戦力となり、当社に貢献していただけることを期待しています。
新卒の段階である程度の基礎が身についていることは大きな強みです。そうした土台があれば、仕事も任せやすくなりますし、活躍の場も広がります。
まったくの未経験からスタートするよりも、学生時代にさまざまな経験を積み、成長の下地を持っている方の方が、入社後の成長スピードも高いのではないかと考えています。
どのような学生に期待しますか?
【富樫様】
正直なところ、資格の有無や情報系の実務経験があるかどうかが、合否に直接結びつくわけではありません。私たちが大切にしているのは、どれだけ当社に対する思いが強いか、そして当社が定めている「求める人物像」にどれだけ近いか、という点です。この観点から総合的に判断しています。
もちろん、資格も判断材料の一つとして参考にしますが、「資格があるから合格」「持っていないから不合格」という単純な判断はいたしません。
当社には「日立の精神」が根付いており、まずはそこに共感していただける方を求めています。具体的には、主体性があり、学ぶことに貪欲な方です。システムエンジニアの仕事や情報社会は変化のスピードが非常に速いため、常に最先端の技術に興味を持ち、学び続けられる姿勢が求められます。
また、プロジェクトは基本的にチームで進めるものなので、コミュニケーションを苦にしない方であることも重要です。得意である必要はありませんが、「一人で完結したい」「他者と関わらずに仕事をしたい」というタイプの方は、当社の働き方とはミスマッチが生じる可能性があります。
いくら技術力が高くても、個人プレーに終始し、自分だけで成果を出そうとする方は、当社の働き方とは合わないというのが正直なところです。
【谷本様】
日立グループとしては、「和」「誠」「開拓者精神」を大切にしながら、調和を重んじ、チームで挑戦し続けることを共通の目標としています。
当社としても「どのような人が活躍しているのか」を改めて明確にしようと考え、社員へのインタビューを重ねてきました。その結果、共通して活躍している社員は、目標に向かって挑戦し続けられる、そして目標を達成するために何が必要で、何が足りないのかを分析し、行動に移せる人だということが分かりました。
こうした姿勢を学生の段階で実践できている方を見ると、当社でも活躍していただけそうだなと感じます。
【富樫様】
そういった方の中には、自分がやりたいことが明確な方が多いと感じています。ただ、会社側としても、全ての希望をそのままかなえられるわけではありません。とはいえ、将来のキャリア形成につながるように、上司も含めてプロジェクトへのアサインなどはできる限り検討し、本人の成長につながる機会を提供したいと考えています。
学生の段階では、どうしてもやりたい分野や職種が偏りがちで、全員が最初から希望どおりの配属になるのは難しいのが現実です。そうした中でも、「将来この仕事に就きたい」という思いを持ち、そのために努力を続ける姿勢はとても大切だと思います。
実際に、最初の配属先で一生懸命仕事に取り組み、成果を出すことで評価され、そのまま活躍の場を広げていく方もいます。また、当初は想定していなかった業務でも、「この仕事を続けたい」と思うようになる方もいます。入社時に明確な目標を持ちつつ、その後さまざまな経験を積む中で、結果的に満足して働いている方も少なくありません。
学生時代に経験・体験をしておいてほしいことはありますか?
【富樫様】
やはり、「これだけは誰にも負けない」と言えるものを一つでも持っている学生は、とても強いと感じています。面接の場でも、「入社までに何をしておけばいいですか?」と質問されることが多いのですが、その際には、まず一つ、自分の軸となる強みを持つことを勧めています。
同時に、学生時代にさまざまな経験をしておくことも大切です。社会人になると、お客さまをはじめ多くの人と関わる機会が増えますが、そのときに学生時代の経験が引き出しとなり、何気ない会話からつながりが生まれることも少なくありません。
もちろん、勉強も必要で、最低限の基礎知識は身につけておいてほしいと思います。ただ、それだけに偏るのではなく、学生のうちにしかできないことにも積極的に挑戦し、多様な経験を積んでほしいと思っています。

本校でAIを学んだ学生についてはどう思いますか?
【富樫様】
AIが広く注目されていることもあり、AI関連分野に興味を持つ学生は多いですね。
【谷本様】
当社もAI分野には力を入れているので、AIに興味がある、学んだ経験がある学生はぜひ来てほしいと感じています。最近はさまざまなAIツールが公開されていますが、プログラムの内容や設計情報をそのまま読み込ませてしまうと、情報漏洩につながる可能性もあるため、オープンなAIツールは利用していません。
一方で、今後はAIを活用しながら仕事を進めていく場面が確実に増えていくと考えています。そうした背景から、社内にはAI活用を推進する専門部署が立ち上がり、社員のみが利用できる日立のAIツールが数多く整備されています。現在は、全社員がそれらのツールを使える環境になっています。
使い方としては、仕事そのものをAIに任せるというよりも、アイデア出しを手伝ってもらったり、メールの文章を添削したりといったサポート的な活用が中心です。また、プログラムについても、外部ツールに投入する前に社内AIでチェックし、記号の抜けや記述ミスがないかを確認するなど、事前のブラッシュアップに役立てています。
このように、AIを「相棒」のような存在として活用しながら、社員一人ひとりが業務の質を高めている点は、当社の特長の一つだと感じています。
AIについては、社内教育もかなり充実しています。会社から新しいAIツールがリリースされるたびに、学習用の資料が展開され、「こんなことができるようになったので、ぜひ使ってみてください」といった形で共有されます。
また、社員同士でAIの活用事例を紹介し合う取り組みも活発です。自身で作ったエージェントやツールを社内のAI掲示板に投稿し、「こういう場面で使えます」「見積もりチェックの際に差分を一括で出してくれます」といった具体的な使い方を共有しています。
そうした投稿を通じて、「こんな使い方もあるんだ」と新たな発見や学びにつながり、社員同士の交流も自然と生まれています。AI活用に関しては、会社全体として前向きに動いていると感じます。
【富樫様】
実際には、専門的にAIを学んできたというよりも、「AIに強い興味を持っている」学生の方が多い印象です。もちろんAI分野を中心に学んできた学生や、大学時代にAIに触れる機会があった方も一定数いらっしゃいます。
そうした方の中には、「AIそのものをメインにした仕事がしたい」「AI分野で何かを変えていきたい」と考えている方も多いのですが、当社としては、AIを活用してお客さまの課題を解決していくという場面の方が多く、その点で、めざしている方向に認識のずれが生じることもあります。
そのため、選考や面談の中では、お互いの考えや期待値にずれが生じないよう、丁寧にマッチングのレベルを確認しながらお話しさせていただいています。
最後に、本校の学生に向けて、一言メッセージをお願いいたします。
【富樫様】
やはり、仕事は楽しく取り組んでほしいという思いがあります。本当に自分がやりたいことを実現できる会社を、ぜひ見つけてほしいと思っています。
そのためには、まず「自分は何をやりたいのか」という点について、しっかり自己分析を行うことが大切です。できるだけ早い段階から自己分析を重ね、自分のやりたいことを見極めた上で、本当に納得できる会社を選んでほしいと思います。
そうやって計画的に、自分のキャリアについて能動的に考えられる人は、結果として企業側からも「ぜひ一緒に働きたい」と声をかけられやすくなるのではないでしょうか。
【谷本様】
勉強そのものに集中してインプットするだけでなく、貴校のカリキュラムでも力を入れていると伺っている「チームワーク」のように、学んだことをどうアウトプットしてきたかがとても大切だと思っています。
アウトプットする中で、どんな課題に直面したのか、どう工夫して乗り越えたのか。そうした経験を重ねるほど、インプットした知識はより深く磨かれていきます。これは就職活動においても大きな強みになります。
「こういう勉強をしてきました」という話に加えて、「その知識を使って、こんな経験をしました」と経験ベースで語れると、非常に印象が良くなります。
単に学んだことを自分の中だけで完結させるのではなく、誰かに伝えてみたり、何かの役に立てようとしたりする。その過程で得た経験こそが、最終的にご本人の大きな財産になるのではないかと思います。
